第0話 竜術士の世界 

 

 世界は変わっていた。今まで危険と言われた生物までが利用する価値を見出されている。空には生物の引く車が飛び交い、人間たちの生活を支えている。雨が欲しければ雨の神様に媚を売り、嵐が来れば太陽神を求め、月夜を欲すれば天を仰いで祈る。何もかもが人間の都合に合わせた世界となっていた。人間は人間の力で自然の摂理に従っていた時代は何処へ行ったのだろう。そんな疑問が消え失せて行くこと数世紀、世界のバランスが崩れ始め、生物は生物で対処を、という時代に生まれたのが竜術士だった。

 

 "リュウ"を引き連れた戦闘員、"竜術士"。 "リュウ"とは、幻獣や神様、妖怪など様々な生物のうち、人間と契約を交わした生物のことを指し、"竜術士"とは、"リュウ"と1対1で互いに契約を交わしパートナーとなった者達のこと。彼らは、世界に起こり得る生物の問題を解決するために作られた存在だ。軽い暴動はもちろん、命の危険を伴う仕事を課せられることだってある。これは、そんな竜術士とその仲間達の物語である。


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